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箆柄暦『十二月の沖縄』2010 ネーネーズ

2010.12.14
  • インタビュー
箆柄暦『十二月の沖縄』2010 ネーネーズ

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箆柄暦『十二月の沖縄』2010
2010年11月30日発行/092号

《Piratsuka Special》
ネーネーズ
『贈りもの』

 

Piratsuka Special
ネーネーズ
若さ弾けるネーネーズから、歌の贈りもの。

 色鮮やかな紅型衣装に身を包み、沖縄ポップスや島唄を情緒豊かに歌う女性ボーカルグループ、ネーネーズ。ベテラン民謡歌手で作曲家でもある知名定男のプロデュースにより一九九〇年に結成され、九〇年代の沖縄ポップスブームを牽引。九九年に顔ぶれを一新して以降は、何度かのメンバー交代を経て、現在は保良光美・上原渚・比嘉真優子・仲本真紀の四人が国際通りのライブハウス「島唄」のステージに立ち、若々しく爽やかな歌声で、沖縄音楽の魅力を県内外に発信している。

 そんな彼女たちの最新アルバム『贈りもの』が、この十一月に発売された。CDの帯にはネーネーズからのびっくり箱と書かれているが、その通り、今作にはネーネーズ史上初ともいえる本格的なハードロックやジャズアレンジの曲が並び、島唄のネーネーズに慣れた聞き手をあっと驚かせてくれる。さらには若い四人がそれらを楽しげに歌いこなし、ネーネーズとしての新たな魅力を開花させていることにもまた、びっくりさせられる。このびっくりを仕掛けた知名は、「彼女たちの若さに触発されて、僕も思わず気合いが入ってしまった」と笑った。

 「今のメンバーは全員二十代前半で、歴代ネーネーズの中でも一番若いから、これまでの優等生的なイメージは取っ払って、もっと不良っぽさやヤンチャさを感じさせる曲があってもいいだろうと思ったんです。それに僕自身もともとロックやソウルが好きで、そういうアレンジをやってみたかったし。もちろんネーネーズの根底にある沖縄的なものはきちんと表現しつつ、攻撃的な気持ちで曲作りに取り組みました」

 そうして今作には、ネーネーズらしく明るい沖縄ポップスや島唄のほかに、ギターがうねる七〇年代風ハードロックナンバーや、レイ・チャールズを彷彿とさせるソウルバラード、ジャズオーケストラを従えたディキシーランド風の曲など、斬新な洋楽アレンジの楽曲もずらりと並んだ。さらに知名の依頼で宮古方言シンガー・下地勇が書き下ろした新曲や、下地と新良幸人のユニットSAKISHIMA meetingのカバー曲などもラインナップに追加。この音楽的振り幅の大きさは、まだ年若いメンバーには、かなりのプレッシャーだったに違いない。

 だが彼女たちは、録音を重ねる中で「作曲家や演奏者の思いを受け止めて、表現者としてしっかり伝えなければと思った」(保良)、「ロックやジャズを歌うのは難しかったけど、すごく楽しかった」(上原)と、着実に進化を遂げた。知名もそのがんばりを認め、「この作品がきっかけで、四人のアンサンブルがより分厚くなっていくのでは」と期待を寄せる。「大事なのは声を合わせることではなく、四人が個性を大事にして、その結果歌に幅が出てくること。この四人は声質がぜんぜん違うので、これからの成長が楽しみです」

 今月はCDの発売を記念して、東京と横浜でもライブが行われる。メンバーは「私たちと同じ若い世代にもぜひ聞いてほしい」(比嘉)、「歌はもちろん、ステージでのトークでも楽しんでもらえたら」(仲本)と気合い十分。ネーネーズからの愛の詰まった贈りもの、CDやライブ会場でぜひ受け取ってほしい。
(取材・文/高橋久未子、撮影/喜瀬守昭、デザイン/西英一、ロケ地/国際通り)

 

ネーネーズ 1990年、知名定男プロデュースのもと結成された女性4人組ボーカルグループ。91年にアルバム『IKAWU』で注目を集め、翌年『ユンタ』でメジャーデビュー。99年以降何度かのメンバー交代を経て、現在は(写真左から)保良光美・上原渚・比嘉真優子・仲本真紀の4名が国際通りの「ライブハウス島唄」を拠点に県内外でライブ活動を展開している。

◆ネーネーズ『贈りもの』
ディグレコーズ(TEL: 098-863-0839) 
DCA-0009 3,000円 2010/11/7発売
贈りもの/アイラブ・ソング・キング/春のワルツ/初恋/SAKISHIMAのテーマ/白雲ぬ如に/風の道/コザ!/山河、今は遠く/山ばれーゆんた/赤田首里殿内/待ちくたびれて/願い