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箆柄暦『十月の沖縄』2010

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箆柄暦『十月の沖縄』2010
2010年9月30日発行/090号

 

《Piratsuka Special》
BEGIN
ビギンの島唄は、日本のみんなの島唄です。

 今年デビュー二十周年を迎えた石垣島出身の三人組バンド・BEGINが、待望のニューアルバム『ビギンの島唄 オモトタケオ3』をリリースした。オモトタケオとは、BEGINが島唄を作るときにだけ表れる心の住人のこと。「島人ぬ宝」「オジー自慢のオリオンビール」など、数々のヒット曲を生み出した人気シリーズ、約八年ぶりの新作だ。全曲の作詞を担当したボーカルの比嘉栄昇は、「今回は沖縄ではなく日本の島唄のつもりで作った」と、本作への意気込みを語る。

 「十年前にビギンの島唄第一弾を出した頃は、僕ら自身島唄は本土には馴染みにくいのではと思っていて、ステージで三線を弾いて歌うのにも遠慮があったんです。島唄ばっかりですいません、みたいな(笑)。でも全国をツアーで回ってみると、日本中どこへ行ってもみんな、島唄を楽しみに待ってくれてるんですよね。それでビギンの島唄は沖縄だけのものじゃない、(本土の人にも楽しめる)日本の島唄なんだ、と確信したんです。だとしたら、これまでのように唄の背景や意味をいちいち歌詞で説明するのは、同じ日本の島人同士、かえって失礼だろうと。だから今回はあえて説明も遠慮もせず、僕の思いをそのまま伝えて、聞く人にもそのまま感じてもらおうと思いました」

 そうして栄昇が書き上げた歌詞は、沖縄本島にある彼ら専用のレコーディングスタジオに持ち込まれ、メンバー三人の合宿体制で制作が開始された。キーボードの上地等は「曲作りも録音も、すべて沖縄でのんびり楽しくやれたことがすごく良かった。その楽しさが音の中にも組み込まれているんじゃないかな」と振り返るが、その言葉通り、今作の収録曲は先の二作以上に沖縄色濃厚な内容ながら、よりポップでキャッチー、そして心温まる仕上がりとなっている。「オジー自慢〜」の続編ともいえる「アンマー我慢のオリオンビール」、石垣島の勇壮なハーリーを歌った「爬竜舟」など、三線の音色とリズムに心躍らされる曲もあれば、「金網移民」や「おもろまちで拾った恋だもの」のように、叙情的なメロディに乗せて米軍基地や沖縄戦のことを唄い、聞き手の胸をふるふると揺さぶる曲もある。沖縄ファンにとってもBEGIN自身にとっても、一作目・二作目に続く島唄の定番となりそうだ。

 そもそもビギンの島唄は、彼らがデビュー以前、二十歳の頃から温めていたアイディアだという。ギターの島袋優は「いつか沖縄の民謡と大好きなブルースをミックスした音楽を作り、民謡の素晴らしさを本土に伝えるための架け橋になりたいと思っていた」と語るが、今やその願いは現実のものとなりつつある。ビギンの島唄がきっかけで沖縄民謡を聞き始め、三線を習い始めた人が、日本中にどれほどたくさんいることだろう。そして本作は、その流れをさらに後押しする一作となるに違いない。BEGINが歌う日本の島唄は、きっとすべての日本人の心に届くはずだから。
(取材・文/高橋久未子 撮影/喜瀬守昭 撮影協力/抱瓶久茂地店)

 

BEGIN(びぎん) 石垣島出身の同級生、比嘉栄昇(vo/中央)、島袋優(g/右)、上地等(key/左)が結成した3人組バンド。1990年に「恋しくて」でメジャーデビュー。ブルースから島唄まで幅広い音楽性を持つオリジナル曲の数々で、全国的に高い人気と評価を得ている。

◆BEGIN『ビギンの島唄 オモトタケオ3』
インペリアルレコード TECI-1284
2,000円 2010/9/8発売
祝い古酒/でーじたらん/パーマ屋ゆんた/医者半分ユタ半分/おもろまちで拾った恋だもの/アンマー我慢のオリオンビール/金網移民/爬竜舟/パーマ屋ゆんた(深夜便バージョン)