沖縄イベント情報 ぴらつかこよみ|ぴらつかこよみ

箆柄暦『八月の沖縄』2010 SAKISHIMA meeting(新良幸人×下地勇)

2010.08.01
  • インタビュー
箆柄暦『八月の沖縄』2010 SAKISHIMA meeting(新良幸人×下地勇)

pira1008_hyo250
箆柄暦『八月の沖縄』2010
2010年7月31日発行/088号

 

《Piratsuka Special》
SAKISHIMA meeting
新良幸人×下地勇
サキシマの音と想いを、虹に乗せて。

石垣島に生まれ育ち、幼い頃から民謡に親しんできた新良幸人と、故郷・宮古島の方言で曲を作り、歌い続ける下地勇。ともに先島生まれのシンガー二人が、二〇〇四年末から始めたユニットSAKI SHIMA meeting(以下サキシマ)の新作「サキシマ・ザ・レインボー」が、前作から二年ぶりにリリースされた。

虹にまつわる曲を中心としたマキシシングルで、楽曲はすべてオリジナル。ベースとなるメロディを勇が書き、あとは二人の共同作業で仕上げたというナンバーは、それぞれの個性際立つボーカルが調和したところに三弦とギターのフレーズが絡み、歌詞にはウチナーグチと宮古方言が散りばめられ、沖縄の歌というよりはむしろワールドワイドな、このコンビならではのオリジナリティを感じさせるものになっている。

幸人「だって(環境や文化の違う)石垣島白保出身の俺と、宮古島久松出身の勇が合体して、独特な音楽にならなかったら、そのほうがおかしいでしょ(笑)。特に今回は分業ではなくて、合作だったから。俺が歌詞を書いてて、あと一行どうしても足りないとき、勇がその一行を見つけてくれたりね」

「そんな中で、お互いのソロやバンドとも違うサキシマの音を確立できたらいいな、と思ったんです。幸人さんの三弦が入るから民謡的な部分もありつつ、でも、音楽的にはまったく新しいものを目指したいな、と」
そう語る二人の息はぴったりだが、それは互いにミュージシャンとして才能を認め合っているからでもある。

「幸人さんがすごいのは、何よりレコーディングのとき。三弦ソロの場面でこういうイメージでって漠然と伝えただけで、出てくるフレーズは見事にガフ!!(笑)。ガフは宮古の方言でぴったりはまるって意味なんだけど、こちらの期待をいい方向に裏切りつつ、テーマはちゃんと汲み取って弾いてくれる。ステージも楽しいけど、曲作りのときの高揚感は最高です!」

幸人「俺はライブで歌ってるときだな。特に二人の演奏がばっちり決まって、それこそガフ!!な瞬間はめちゃくちゃ嬉しい。勇も知り合った頃は、歌詞にしろ曲にしろこの人、自分の引き出し全部出し切っちゃってないか? 大丈夫か?って心配だったけど(笑)、今はどんどんステキな音楽家になっていってるよね」

今作には、島の平和を願う思いを虹に託したバラード「nu-ji」、宮古方言で「虹」の意の「天蛇」をタイトルに据えたビート感あふれるナンバー「tin pav」、サキシマ初のインストゥルメンタル「スクは今夜も虹を見る」2バージョン、そして前作「SAKI SHIMA meeting」で発表した「夏至南風」リミックスと、計五トラックを収録している。今後は県内外でのライブも計画中とのことで、ナマで新曲を聞けるチャンスも増えそうだ。

幸人「俺らのCDは、ライブするために作ってるからさ。サキシマファンの皆さん、そのうち会いに行くから、ぜひライブに来てくださいね」
(取材・文/高橋久未子 撮影/喜瀬守昭 撮影協力/沖縄県立博物館・美術館)

 

新良幸人(あら・ゆきと、写真右) 1967年、石垣島白保生まれ。11歳から八重山民謡を父親に師事。現在はソロや太鼓奏者・サンデーとのユニットで民謡中心のライブ活動を行うほか、人気バンド「パーシャクラブ」のボーカルとしても活躍。

下地勇(しもじ・いさむ、写真左) 1969年、宮古島久松生まれ。2002年に「我達(ばんた)が生まり島」でCDデビュー。宮古方言の歌詞をレゲエやブルースなど幅広いジャンルの音楽に乗せて歌う個性派アーティスト。

◆SAKISHIMA meeting「サキシマ・ザ・レインボー」
アライズ TEL:098-894-5629 ARIZ-1400
1,500円 2010/7/29発売(沖縄限定)
スクは今夜も虹を見る Instru mental/tinpav/nu-ji/夏至南風(エイサー・ザ・レインボーVer.)/スクは今夜も虹を見る Instru mental(withサンデーVer.)