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2019年12月03日 火曜日

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箆柄暦『二月の沖縄』2020 琉球交響楽団『沖縄交響歳時記』

《Piratsuka Special Topics》

琉球交響楽団『沖縄交響歳時記』
~沖縄の四季をオーケストラで詩情豊かに描く~

※インタビューのロングバージョンは現在準備中です。準備が整うまでの間、本誌に掲載のショートバージョンを掲載いたします。

沖縄初のプロフェッショナル・オーケストラとして、2001年に誕生した琉球交響楽団(以下、琉響)。沖縄でプロの演奏家として活動する30数名によって構成されており、年2回の定期公演を軸として、年間約80回におよぶ演奏会を行っている。

琉響を創設したのは、元NHK交響楽団の首席トランペット奏者で、退団後は故郷の沖縄で沖縄県立芸術大学の教授を務めていた祖堅方正(そけん・ほうせい)だ。彼は「卒業生に地元での活躍の場がなく、県外に流出する状況を変えたい」と琉響を設立し、長年交流のあった指揮者の大友直人にミュージックアドバイザーを依頼。以降、琉響は年に2回の定期公演を行い、2005年には沖縄の楽曲を演奏したアルバム『琉球交響楽団』を発表するなど、精力的に活動を続けている。

だが本来、オーケストラという組織は興行収入だけでは経済的自立が難しく、自治体や企業による財政支援が不可欠だ。琉響はその支援をなかなか得られぬまま、2013年に祖堅が急逝。その後は団員が一丸となり、「音楽の力で県民を笑顔にする」をモットーに、手弁当で活動してきた。大友も「沖縄には才能豊かで情熱のある音楽家が大勢育っている。優秀な音楽家の集団であるオーケストラが地元で活動すれば、教育を含めた地域の文化は本当に豊かになるし、それは沖縄にとって絶対に必要なこと」との思いから、2016年以降は音楽監督として、全力で琉響と向き合ってきた。

そして昨年、創立20周年を翌年に控えて、大友と琉響は一大決心をする。15年ぶりとなるアルバム『沖縄交響歳時記』の制作を決めたのだ。楽曲は作編曲家の萩森英明(はぎのもり・ひであき)による書き下ろしで、随所に沖縄民謡やわらべ歌のフレーズを織り込み、沖縄の春夏秋冬を詩情豊かに描く全6楽章の交響組曲。オーケストラの豊かな響きの中から、四季折々の風物や風景が浮かび上がる構成で、まさに琉響ならではのオリジナリティにあふれた、聴きごたえある作品となっている。CDの発売は3月4日だが、それを受けて4月6日にはサントリーホールで、楽団初となる東京公演も開かれる。沖縄生まれ、沖縄育ちの琉響サウンドをCDや公演で堪能するとともに、今後の彼らの活動をぜひ応援してもらえればと思う。(取材&文・高橋久未子/撮影・喜瀬守昭)

 

琉球交響楽団(りゅうきゅうこうきょうがくだん)
2000年春、琉球交響楽団設立準備委員会を発足。ミュージックアドバイザーに国際的指揮者の大友直人を迎え、2001年3月沖縄コンベンションセンターにて「琉球交響楽団設立コンサート」を開催。

楽団員は地元沖縄で活動している演奏家で構成。年2回の定期演奏会の他、小・中・高等学校での音楽鑑賞会、また、第3回、第4回世界のウチナーンチュ大会、沖縄本土復帰30周年、40周年、第46回米州開発銀行(IDB)総会など、政府や沖縄県からの公演も多数行っている。

また、オーケストラをより身近に楽しんでもらおうと、2015年より「0歳児からのコンサート」「オーケストラで紡ぐ沖縄民話絵本の読み聞かせ」を開始。2016年からは大友直人を音楽監督に迎え、「これまで以上に聴衆とのふれあいを大切に、県民に親しみ愛され、国際色豊かな沖縄県の顔となる交響楽団」を目指して活動している。

大友直人(おおとも・なおと)
桐朋学園大学を卒業。22歳で楽団推薦によりNHK交響楽団を指揮してデビュー。現在、群馬交響楽団音楽監督、東京交響楽団名誉客演指揮者、京都市交響楽団桂冠指揮者、琉球交響楽団音楽監督。また、2004年から8年間にわたり、東京文化会館の初代音楽監督を務めた。

在京オーケストラの定期演奏会にとどまらず、これまでにコロラド交響楽団、インディアナポリス交響楽団、ロイヤルストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団などに招かれ、2012年にはハワイ交響楽団のオープニングコンサートを指揮、同年6月にはロネーヌ国立管弦楽団の定期公演に客演。絶賛を博し、欧米での活躍にも大きな期待が寄せられている。

オペラにも力を入れており、1988年、日生劇場における『魔弾の射手』でのオペラデビュー以来、オペラの指揮も高く評価されている。特に2006年8月イタリアで開かれたプッチーニ音楽祭では、三枝成彰作曲オペラ『Jr.バタフライ』や、2013年1月には同作曲家のオペラ『KAMIKAZE-神風-』の世界初演、そして2014年1月には千住明作曲の新作オペラ『滝の白糸』を指揮し、大きな話題となった。

第8回渡邊暁雄音楽基金音楽賞(2000年)、第7回齋藤秀雄メモリアル基金賞(2008年)を受賞。大阪芸術大学教授、京都市立芸術大学客員教授、洗足学園大学客員教授、愛知県立芸術大学客員教授。

2020年1月、初の著書『クラシックへの挑戦状』を中央公論新社より発売。音楽とはなにか、クラシックとはなにか、指揮者とはなにかを突き詰めた渾身の書下ろし。
本の情報はこちらから⇒http://www.chuko.co.jp/tanko/2020/01/005261.html

[CD Info]
大友直人指揮 琉球交響楽団
『沖縄交響歳時記』
リスペクトレコード
RES-323
3,000円(税別)
2020/3/4発売
http://www.respect-record.co.jp/discs/res323.html

Amazon
https://amzn.to/36LPFht

[Live Info]
◆琉球交響楽団 CD発売記念コンサート@沖縄
https://www.ryukyusymphony.org/

日時:2020/4/3(金)
場所:アイム・ユニバースてだこホール(浦添市)
問合せ:琉球交響楽団事務局 TEL.090-9783-7645

◆琉球交響楽団《はじめての東京公演》
https://avex.jp/classics/ryukyu2020/

指揮:大友直人
ピアノ:清水和音

プログラム:
モーツァルト 歌劇《皇帝ティートの慈悲》序曲
ファルマニノフ ピアノ協奏曲第2番
辻井伸行『沖縄の風』
萩森英明『沖縄交響歳時記』

日時:2020/4/6(月)18:15開場/19:00開演
場所:サントリーホール(東京都港区)
料金:S席9,800円/A席7,800円/B席5,800円/C席4,800円
問合せ:チケットスペース TEL.03-3234-9999

◆琉球交響楽団 第37回 定期演奏会
https://www.ryukyusymphony.org/

指揮:大友直人
ピアノ:清水和音

プログラム:
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
ラフマニノフ 交響曲弟2番

日時:2020/3/1(日)15:00開場/16:00開演
場所:アイム・ユニバースてだこホール(浦添市)
前売料金:一般3,000円/大学生以下1,500円/親子(大人1名+高校生以下1名)3,500円 ※当日券は各500円増
問合せ:琉球交響楽団事務局 TEL.090-9783-7645